海辺の墓地

shinji172011-06-11

風吹き起きる…生きねばならぬ。一面に
吹き立つ息吹は本を開きまた本を閉じ、
浪は粉々になってから迸(ほとばし)り出る。
飛べ飛べ、目の眩めいた本の頁よ。
打ち砕け、浪よ。欣び踊る水で打ち砕け、
三角の帆の群の漁(あさ)ってゐたこの静かな屋根を。
(鈴木信太郎・訳「ポール・ヴァレリー全集」筑摩書房)