shinji172009-05-13

材料の毛は、剛毛(馬やイタチ、狸)、柔毛(羊や猫、リス)の
毛などが用いられている。また、「特殊筆」として、鶏や孔雀、
マングースやムササビの毛、また、獣毛以外にも
藁や竹を使用した筆も生産されている。
 生産地は、いずれもそうした動物がまだ生息している地方が多い。
最近は、胎毛筆と言って赤ちゃんの成長を願って、
赤ちゃんの髪の毛でも記念に筆を作ることもある。
 剛毛の弾力と柔毛の墨含み、双方の利点を併せ持つ
二種の毛を配合したものを「兼毫」と言う。
 日本で現存している最古の筆は「天平筆(雀頭筆)」であるとされている。
正倉院に残されている。<書の筆>
 通常、大筆(太筆)は穂を全ておろす(ノリを落とす)が
(根元に短い毛を意図的に残し、
筆の弾力を高めているものに関しては根元を固めたままにすることが多い)、
小筆(細筆)は穂先だけをおろすのが良い。ただし、仮名用の筆に於いて、
やや大きめの面相筆は根本までおろすことが多い。
 小筆の穂先は特に繊細なため、陸(墨を磨る部分)で
穂先をまとめるために強くこすりつけることは極力避ける。
 墨などで固まった穂先を陸にこすりつけて、
柔らかくしようとすることは絶対にしてはならない。
硯は固形墨を磨(す)るためのヤスリであり、墨液が潤滑の働きをするとは言え、
そのヤスリにこすりつけることは穂先を硯で磨ることと同じであり、
穂先をひどく傷めてしまうからである。
大筆も硯の陸の部分で墨を調節したりするのは穂を傷めるので、
大作を作る時などは、プラスチックや陶器などで作られた、
ヤスリの要素だけを取り除いた「墨池(ぼくち)」というものを使うことが多い。<仕組み>
 毛はウロコ状の表皮に包まれた物体である。ウロコ状の部分をcuticle(キューティクル:表皮構成物質)と呼ぶ。人毛の場合、このキューティクルの隙間は0.1ミクロンであり、水などがこの隙間から進入すると毛全体が膨らみ反る。そのため、作られてすぐの筆は膨らんだり毛が反るので、毛や筆の性能を活かしきることができない。ススは、元素的にはカーボン(炭素)である。このスス成分が筆のキューティクルの隙間に沈着すると、水分が入れない状態になり、膨らんだり反ったりしなくなる。また筆のコシが出て、墨の含みも良くなり、最も良い状態で筆の性能を活かすことができる。羊毛の筆は最初、透通るような白い色をしているが、使い込むに従って銀色に、さらに長年を経ると黄金色に輝き、使用者自身の書きぶりが毛の癖となって表れ、その人の体の一部の如く使いこなしやすくなる。しかしその状態になるには、墨液よりも、摩った固形墨の方が良いと言える。
 (Wikipediaより)